「青い地図」雑感
ピューリッツアー賞受賞のジャーナリストが、クックの航海日誌や古記録をもとに南太平洋の島々を訪れ、伝統や信仰が崩壊している現状を描いている本「青い地図 キャプテンクックを追いかけて上下 トニー・ホルヴィッツ著 山本光伸訳 バジリコ(株)」をざっと読みました。
日雇い人夫の息子として生まれ、石炭運搬船の奉公人、水兵から英国海軍の大佐に至り、謙虚と素朴さを持ち、公務に忠実なキャプテン・クックが、あくなき未知の地域への冒険をした理由とは何かを求めて著者はその投錨地を突撃取材をしている。
しかし、クックは1768年から1779年まで金星の観測や未知の大陸、航路探索のために3回も航海をしている。それゆえの太平洋の大きなジグソーパズルの小さな数枚を拾つているように各地をレポートしているので焦点が判りにくい。 なお本では楽園と宣伝されているタヒチ、野蛮島のニウエ、現在も階級社会が存在するトンガ、マウイの伝統を願うニュージーランド、アボリジニの市民権が200年後に認められたオーストラリア、ジャカルタ、ハワイ、南極圏、アラスカ、ノースヨークシャー等を取り上げている。
これらの地では、当然ながらクック時代の面影はまったく無いといっていいくらいに変貌している。 しかし、現在も人々の心の中に潜むキャプテン・クック、西洋文化、宗教への反感を炙り出している。
その地に訪れたことのある人、より現実的に現代と過去の繋がりが進むでしょうが、私はなかなか理解が進みません。せいぜい雑多な知識の集積しか出来なかった。例えば、タヒチにクックより早く訪れたフランスの船長の名があのブーゲンヴィリという名前であったこと、クックが海軍にいるとき建てられメルボルンに移築された”クックの家”への疑問、貴族で航海後王立協会会長を41年間務めた植物学者バンクスや助手のスウェーデン人の植物学者ソランダー、航海中25歳で亡くなったが、数々の植物収集品を描いた画家のパーキンソンやバンクーヴァーの記述に目がいくくらいでしかありませんでした。
余談ですが、先にリンネの弟子のソランダーの切手について紹介しましたが、その切手の植物画はシドニー・パーキンソンによるものでした(5月31日記事参照)。彼の植物画に関する本も出版されているようなので一読してみよう。
*切手①はキャプテン・ジェームス・クック、オーストラリア1999年3月19日。#1727b。印象はどうですか? 切手②はエンデヴァー号と複製船。オーストラリア1995年2月9日発行、#1423。 著者は北アメリカ太平洋岸で、この複製船による過酷な水夫体験乗船記を第1章にしている。 なおエンデヴァー号はグレートバリアーリーフのサンゴ礁で損傷を受け、クックの第2、3回航海はレゾルーション号となった。
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