サボ・弁慶柱 花の受粉切手
夜、開花する大柱サボテン・弁慶柱(Suguaro cactus、Carnegiea gigantea)の受粉を レッサーハハナガコウモリ(Lesser long- nosed bat)が媒介している切手がアメリカで発行された。こうもりは花蜜とたんぱく質に富む花粉を食べに、大きな花の中に頭を突っ込み、同時に受粉が遂行される。花を探して渡りをするこのコウモリはリュウゼツランなども受粉している。
弁慶柱Carnegiea giganteaはソノラ砂漠を代表的なサボテン。大きいものでは高さ10m以上にもなる。アリゾナ州の州花。4~5月頃、高い幹の天辺に大きな花を付ける。6月末、こぶし半分くらいの赤い実に熟し、マルハシツグミモドキやハジロバトの餌になる。パパゴインデイアンもこれを食料として採取している。一本の木に200個の花、一果実に2000個の種ができるそうだ。即ち、一本のサボテンに40万個の種(サボテンと捕虫網 ソノーラ砂漠のフィールドノート、ジョン・アルコック著、 鈴木信彦、渡辺政隆訳、平河出版社より)。
しかし、この弁慶柱Carnegiea giganteaは絶滅の恐れのある植物として切手に取り上げられている。生長が遅く、枝が発生するには75年ぐらい掛かるらしい。また自家受粉はせず、受粉には多量の他個体の花粉が必要らしい。グーグルアースでみると、宅地開発が近くに及んでいることが判る。 このような大サボテンが自生し、特異な生物相を形成する砂漠の保護、気になります。
なお、冒頭紹介した受粉の切手は全国受粉媒介者週間National Pollinator Weekに合わせて発行されたものですが、ミツバチを始め、こうもり、蝶、鳥などの受粉媒介者pollinatorsの数も減ってきているそうだ。事実、このコウモリは絶滅の恐れのある種となっている。 生物の多様性、農業生産にもかかわる問題で、アメリカではこのような啓蒙週間があることを始めて知った。
切手1 : Pollination 2007年6月29日発行。花と媒介者の組み合わせ。Morrison's bumble bee vs Purple or chaparral nightshade,. Calliope hummingbird vs Hummingbird trumpet. Lesser long-nosed bat vs Saguaro.. Sothern dogface butterfly vs Praine or common ironweed
切手2 : 1962年2月14日発行 Giant Saguaro Cactus 、Arizona Statehood,50th Anniv.
静寂な夜、開花した弁慶柱。
切手3 ; 1996年3月14日 United Naions,Offices in New York, Saguaro cactus, Endangered Species
*画像はクリックすると大きくなります。その他の弁慶柱の切手も”サボテンの切手帳”に掲載しております。興味ある方はご覧ください。ソノラ砂漠や弁慶柱については10月3日、9月29日記事も参照してください。
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