「サボテン博士の歩いた道」を読む
サボテン栽培全般について、伊藤芳夫氏のいくつかの古本を購入し、その中で特に「原色サボテン 集英社」や「最新サボテン園芸 池田書店」は折に触れて参考にしてきました。 今回、毛色の違った「サボテン博士の歩いた道 がんと肝炎と闘って世界一 伊藤芳夫著 四季出版 1989年発行」を読んでみました。
冒頭からサボテン研究の博士へ向けての伊藤氏の活動に対する中傷、それへの苦闘や恩師中井博士の教えなどがでてきて、暖かい陽だまりの中、サボテン園芸の趣味本、昔話を読むという種類のものではないと、気を引き締めました。
この本は、サボテンに病み付きとなった21歳から、81歳でサボテン研究60年の集大成となった豪華本「サボテン科大事典 266属とその種の解説、未来社、1988年」を出した間まで、数多くの本(30冊)を出版したり、新分類法の成果をサボテン界へ問うた伊藤氏の独学力行.を記したものです。ドイツの世界的分類学者バッケベルゲとの交友や宇部常盤サボテンター設立の裏話なども興味深く読みました。
世界のサボテン界で指導的立場をとるという目標を縦糸に、権威への義憤、執念・信念・根性・努力を横糸として、新分類法の確立のため、ラテン語やギリシャ語の習得、外国文献読破など、一つの目的に生き甲斐として努力しつづけていた姿勢には全く頭が下がります。なお本の副題は老人性白内障とともに、彼を襲った多くの試練の一つです。
年譜を見ると花サボテン新種作出と分類に努力されている当時、私も短期間、宇部市に滞在していました。四季出版や今回取り寄せた古本屋も宇部市にあり、大変懐かしかった。あの時、訪れていたらと残念。
*画像はクリックすると大きくなります。「サボテン博士・・・」は伊藤氏31冊目の出版。添付の「サボテンの知識と栽培法 タキイ種苗株式会社出版部、1952年」は、戦後初のサボテンの文献で、これが伊藤氏の初出版(45歳)。昭和天皇へ献上されている。
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